薬膳師のための方剤学・・補中益気湯

薬膳師のための方剤学・・補中益気湯

補中益気湯(ほちゅっえっきとう)

[成分] :黄耆18g、人参6g、灸甘草9g、白朮9g、陳皮6g、当帰3g、

     升麻3g、柴胡3g

 

 


[用法] :水煎する。1日1剤で、朝昼晩に分服する。
[効能] :補中益気、昇陽挙陥
[主治] :脾胃気虚、中気下陥
[症状] :元気がない、疲れやすい、動くと息切れがする、四肢の無力、発熱

     自汗、食欲不振、顔色が白い、軟便、下痢、出血しやすい、胃下垂

     腎下垂、脱肛、子宮下垂など。

     舌色が淡、脈が沈細或いは空大無力。
[方解] :

補中益気湯
君薬:黄耆一性味が甘、微温で、脾、肺の経脈に入る。

   補気昇陽し、益衛固表する。
臣薬:人参、炎甘草、白朮一益気補中して、君薬の働きを助ける。
①.人参:性味が甘、微苦、微温で、脾、肺の経脈に入る。

  元気を大補し、健脾養胃する。
②.炎甘草:性味が甘、平で、心、肺、脾、胃の経脈に入る。

  益気健脾する。
③.白朮:性味が苦、甘、温で、脾、胃の経脈に入る。健脾燥湿する。
 

佐薬:陳皮、当帰、升麻、柴胡ー理気補血し、昇陽挙陥して

   君薬と臣薬の働きを助ける。
①.陳皮:理気和中する。脾経と肺経の気分薬で、脾肺に鬱滞する

  濁気を疎開する。また、君臣の補気薬が気を滞らせるのを防ぐ。


②当帰:血を補って、血に気を載せて運行する。

    また、処方の補気薬とバランスを取る。


③ .升麻、柴胡:下部に陥った脾気を挙げる。
 

使薬:升麻、柴胡ー諸薬の薬効を導いて上行する。
[説明] :
• 本方は補中益気と昇陽挙陥の効能を持っており、脾胃気虚と中気下陥の病気を

 治療することができる。
.補中益気とは中焦の気を補益することである。

.昇陽挙陥(しょうようきょかん)とは下焦に陥った陽気を上げることである。

.脾胃気虚(ひいききょ)とは脾気と胃気が不足することである。

・中気下陥(ちゅうきかかん)とは中焦の脾気が下部に陥ることである。
 

・症状の発生機序について、脾気と胃気が虚弱で、気血の生化が不足するので

 元気がなく、疲れやすい、動くと息切れがする、顔色が白いなどが起こる。)

 

 脾気が四肢をつかさどり、脾気が虚弱で四肢に栄養を潤さないので、四肢の

 無力が起こる。

 

 脾胃が虚弱で、水穀精微から生化する清気が不足して衛気の虚弱をもたらすので、自汗となる。

気が虚弱で、臓腑の正常機能を維持するために、生体の新陳代謝が代償的に旺盛になるので、発熱が起こる。

胃気が虚弱で、受納機能が弱まるので、食欲不振が起こる。

脾の陽気が虚弱で上昇できず逆下するので、軟便、下痢が起こる。)

脾の陽気が虚弱で、陥下して、臓器を昇挙できないので、胃下垂、腎下垂、脱肛

子宮下垂が起こる。

脾気が虚弱で血を統摂する機能が弱くなるので、出血しやすくなる。

舌色の淡は血虚の舌像。

 

脈の沈細或いは空大無力は血気虚の脈像。
 

•本方により治療する発熱は気虚発熱であるので、その発熱に対しての清熱薬

を使っていない。
 

気虚発熱とは気の虚弱によって発熱をもたらすことで、内傷による発熱の一種

である。
 

症状として、主に慢性的な微熱は無力、倦怠感、自汗、顔色が白く、舌質が撤

舌色が淡、脈が虚大などを伴う。

 

気虚発熱の熱は虚熱の一種。

 ・舌質の嬌(ぜっしつどん)とは舌が軟らかく、舌筋肉の張力が弱いことで

 脾気虚の症状である。
 

・気虚発熱の機序は、気が虚弱で、臓腑の正常機能を維持するために

生体の新陳代謝が代償的に旺盛となって、発熱が起こる。

 

そのほか、

①陽気が陰気に陥入することによって、気虚発熱が起こり

②脾胃が損傷されて、中焦の陽気が不足し、陰火が体内に生じることによって

気虚発熱が起こり

③衛気が虚弱で体表を守られず、体内の陽気が体表に浮かぶことによって

気虚発熱が起こるなどの言い方がある。
 

・通常、裏虚の病気に辛散の生薬を用いないので、本方には升麻と柴胡の薬量は

多く用いていない。
 

・升麻と柴胡は昇清挙陽によく用いられる対薬である。
 

•本方は陰虚発熱または内熱熾盛には適用しない。
 

• 本方の活用において、腹痛なら、白芍を加えて柔肝止痛する。

 

頭痛なら、蔓荊子、川弓を加えて疏風清熱して止痛し、或いは藁本、細辛を加え

祛風散寒して止痛する。

 

咳嗽なら、五味子を加えて斂肺止咳する。

 

胸悶腹脹なら、木香、、キ殻を加えて理気解鬱する。
 

発熱、心煩がひどければ、黄柏、生地黄を加えて、下焦の陰火を清する。
 

 

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